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スパイラルアップの意味とPDCAサイクルによる品質管理

品質管理用語の「スパイラルアップ」とは、PDCAサイクル「P(Plan:計画)D(Do:実施)C(Check:評価)A(Act:処置)」において、最後の「A(Act:処置)」での改善内容を「P(Plan:計画)」へ反映させることにより、管理マネジメントを継続的に向上させることを意味しています。

円を描くPDCAサイクルを上へ上へと伸ばしていく、つまり螺旋を描くように向上(spiral up:スパイラルアップ)させるため、こう呼ばれます。


■ スパイラルアップ イメージ図 ■

このPDCAサイクルおよびスパイラルアップという概念は、「ISO 9001」・「ISO 14001」・「ISO 27001」などの国際規格や、「JIS Q 15001」などに反映されています。

PDCAサイクルおよびスパイラルアップは、以前は民間企業の製品開発や業務改善に用いられることが多かった手法ですが、現在では公的機関でも多く導入されていますし、企業や団体のISO取得、それによる評価向上にも欠かせない存在となっています。

さらには社員研修での教育や、個人の業務活動のスキルアップなど、人材の育成という分野でも広く取り入れられるようになりました。

スパイラルアップは決して新しい概念ではありません。

しかし、「業務の計画を立て、それを実行し、検証する。改善点をまた次の計画へ盛り込み、次へのステップアップとする」という考えは、個人から組織までに共通する、業務活動を行う上で適した手法です。

従って、PDCAサイクル&スパイラルアップは、ビジネス活動を行う上で、きわめて重要な概念であるといえるでしょう。

PDCAサイクルの意味の図解

PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルとは、品質管理や生産管理業務などを進める上でのマネジメントサイクルのひとつで、構成される4要素の頭文字をとって付けられた名称です。

PDCAサイクルの概念はこれまで、民間企業の品質向上、経費削減などの用途で、用いられてきました。

「PDCA」の4文字は、それぞれ次ぎの内容を意味しています。

〇P(Plan:計画)過去の実績や今後の予測に基づき、何をどのように改善していくかという計画を立てる。
〇D(Do:実施)立てた計画に沿って、業務や活動を実行する。
〇C(Check:評価)実施した内容を点検、達成内容を評価・分析し、計画に沿っているかを確認する。
〇A(Act:処置)確認後、計画に沿っていない部分の改善や計画自体の継続や内容変更などを検討し、処置を行う。


■ PDCAサイクル イメージ図 ■

この4つの段階を順に行い、円を描くように一周させます。
1周したら、さらに「A(Act:処置)」の結果を、次の「P(Plan:計画)」に反映させます。

この円を描き続けることで、計画から処置・改善までの作業プロセスが継続され、業務や活動の持続的な成果を上げることや、内容の向上をさせていくことができます。

欧米では、提唱した人物である、ウォルター・シューハート(Walter A. Shewhart)、エドワーズ・デミング(W. Edwards Deming)の名をとり「シューハート・サイクル」や「デミング・サイクル」とも呼ばれることもあります。
PDCAサイクルは、品質管理の概念を構築した両氏らによって、第二次世界大戦後に考案されました。

PDCAサイクルの構築方法①(Plan:計画)

PDCAサイクルを実際どのようにして設定し、スパイラルアップしていくかを、個人的な活動を例として考えてみましょう。


1.P(Plan:計画)

最も重要なのが、計画を立てることです。
的確なプランニングができないと、pdcaサイクルの構築は不可能とも言えます。

現時点での問題点、過去の事例による活動内容、今後の展望や予測を洗い出していきます。

この際、自分が一番わかりやすい方法で、かつ並べ替えが可能な方法(例えば大きめの付箋紙などに、1枚につき1事項を書き出すなど)をとると良いでしょう。

それらを客観的に整理していきます。
その際、エクセルを使ってわかりやすくまとめるなど、書き加えが簡単で見やすいものを作るようにします。
検証する際のチェック項目をあらかじめ設定しておくと、後々スムーズでしょう。

忘れてはならないのは、計画を立てることの目的が「問題点を見つけ、改善する方法を確立させることである」という点です。

個人や企業の業務活動は、PDCAサイクルの円と同様、年・月・週・日、また時間ごとなどに決まったパターンをとり、繰り返していることが多いでしょう。

その業務サイクルを基本とし、時間軸で見える化していくことが、プランニングと改善のスピードをアップさせることになります。

「広範囲すぎて考えられない」ということであれば、まずは単位の小さい「1日」で考えてみる、あるいは業務内容の一部だけを抜き出して検討するといったように、方法は多岐にわたります。

個人的にマインドマップを作成してみるのも、良い方法と言えるかもしれません。

PDCAサイクルの構築方法②(Do:実施/Check:評価/Act:処置)

スパイラルアップするためのpdcaサイクル構築方法の解説の第2回目です。


2.D(Do:実施)

プランニングした内容を実行します。
実行は「厳格に、完全に」遂行しなければいけません。
実行不可能ということはプランニングに問題があったか、またはその「できなかった」ことが改善点ということです。
実施中は、検証時のために記録を残す、気付いたことを記しておくなどしておきましょう。
チェック時にきちんとした検証をするためにも、決して中断することなく計画を実施することが大切です。



3.C(Check:評価)

実施した内容を検証します。
実行していく上で見えてきた問題点を具体的に洗い出し、改善策を探ります。
「何が、どのように問題だったのか」、「改善できるのか、できないのか」など、計画した内容と細かく照らし合わせ、客観的に分析することが必要です。



4.A(Act:処置)

分析した内容をまとめ、今後どうしていくかの検討をします。
「どこを、どのように改善するのか」「無理・無駄」「必要・不必要」など、計画に沿っていなかった部分の具体的改善方法を見つけ出し、軌道修正した上で次の計画に反映させます。

重要なのは、「客観的な検証と、次のプランニングに的確に反映させること」です。
「A」まで行っておきながら、そのままにしていたのでは、「品質や内容の向上=スパイラルアップ」は見込めません。
スパイラルアップとはあくまでも、業務や活動におけるpdcaサイクルの円を、螺旋状に上昇カーブを描くように向上させていくことなのです。
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